プロジェクト事例

プロジェクト事例

発電機や自動車エンジンなど、さまざまな動力機械では発生するエネルギーの約2割が摩擦によって失われると言われています。もしこの摩擦を極限まで減らすことができれば、エネルギー効率は大きく向上し、CO₂削減にも貢献できます。

東京大学・加藤教授は、ある特定の条件下で「摩擦がほぼゼロになる」という非常に珍しい現象を発見。しかし、この現象を科学的に証明するには、その状況を長時間安定的に再現できる専用の試験機が必要でした。

そこで研究への協力を要請されたのが、下町ボブスレーをきっかけに縁がつながっていたムソー工業。約2年におよぶ世界初のフライホイール型摩擦試験機の開発プロジェクトが、こうして始まりました。

発電機や自動車エンジンなど、さまざまな動力機械では発生するエネルギーの約2割が摩擦によって失われると言われています。もしこの摩擦を極限まで減らすことができれば、エネルギー効率は大きく向上し、CO₂削減にも貢献できます。

東京大学・加藤教授は、ある特定の条件下で「摩擦がほぼゼロになる」という非常に珍しい現象を発見。しかし、この現象を科学的に証明するには、その状況を長時間安定的に再現できる専用の試験機が必要でした。

そこで研究への協力を要請されたのが、下町ボブスレーをきっかけに縁がつながっていたムソー工業。約2年におよぶ世界初のフライホイール型摩擦試験機の開発プロジェクトが、こうして始まりました。

「世界初の試験機製造」という

ムソー工業70年の歴史の中でも前例のない依頼。

「世界初の試験機製造」という

ムソー工業70年の歴史の中でも前例のない依頼。

「まだ世の中にないフライホイール型の摩擦試験機を作りたい」

「仕様通りに作るだけでなく、必要なデータが確実に取れるようにしてほしい」

東大の加藤教授からの最初の要望は、主にこの2つだ。これらは、従来の試験機では生み出せない摩擦ゼロの現象を長時間安定して維持するという研究のために欠かせない条件だった。

フライホイールとは、自動車のエンジン内部で回転のムラを抑える円盤状の部品のこと。つまり、自動車内部の機構を研究用に再現するというこれまでに前例のない試験機が求められていた。さらに、研究結果を論文にまとめるためには正確なデータを再現性高く計測する必要があり、ゆえに精度の高さも極めて重要だ

「すべてが手探りの状態で、はじめは何から手を付けたらいいのかわかりませんでした」
代表の尾針は、当時をこう振り返る。

世の中に存在しない装置。完成図もなければ、決められた精度基準もない。
すべてがゼロからのスタートだった。

「まだ世の中にないフライホイール型の摩擦試験機を作りたい」

「仕様通りに作るだけでなく、必要なデータが確実に取れるようにしてほしい」

東大の加藤教授からの最初の要望は、主にこの2つだ。これらは、従来の試験機では生み出せない摩擦ゼロの現象を長時間安定して維持するという研究のために欠かせない条件だった。

フライホイールとは、自動車のエンジン内部で回転のムラを抑える円盤状の部品のこと。つまり、自動車内部の機構を研究用に再現するというこれまでに前例のない試験機が求められていた。さらに、研究結果を論文にまとめるためには正確なデータを再現性高く計測する必要があり、ゆえに精度の高さも極めて重要だ

「すべてが手探りの状態で、はじめは何から手を付けたらいいのかわかりませんでした」
代表の尾針は、当時をこう振り返る。

世の中に存在しない装置。完成図もなければ、決められた精度基準もない。
すべてがゼロからのスタートだった。

作っては調整、作っては調整。

精度を追求し、理想の製品へと近付けていく。

作っては調整、作っては調整。

精度を追求し、理想の製品へと近付けていく。

構造のベースは教授から提示があったものの、動く機構を一から作り起こす必要があった。まずは協力会社と連携しながら試作品の設計を開始。できあがったら実際に動かしてみて、都度教授の要望を反映して調整していった。

「ここはもっと精度を追求したい」

一度形になっても、教授からは改善の提案が次々と寄せられる。時には研究室に通い、時には教授の方から加工現場へ出向き、その場で指示を仰ぎながら改良を重ねた。

まさに“答えのない作業”の連続だった。

「初めて作る製品だけに、どこの部品の精度が重要なのかがわからず、動かしてみて意見をいただいてから判断するしかありませんでした」(尾針)

中でも大きな壁となったのが、プラスチックの加工だ。

実験機の視認性を高めるために機器の外側を透明なプラスチックで覆う必要があったが、金属よりも環境の影響を受けて変化しやすいプラスチックは高い精度を実現するのが容易ではない。それでも尾針をはじめとしたムソー工業の開発チームは妥協せず要望に応え続け、教授や協力会社との打ち合わせの回数は数十回にも上ったという。

しかし、その度に精度は着実に向上し、教授の反応にも着実な手応えが表れ始めていた

構造のベースは教授から提示があったものの、動く機構を一から作り起こす必要があった。まずは協力会社と連携しながら試作品の設計を開始。できあがったら実際に動かしてみて、都度教授の要望を反映して調整していった。

「ここはもっと精度を追求したい」

一度形になっても、教授からは改善の提案が次々と寄せられる。時には研究室に通い、時には教授の方から加工現場へ出向き、その場で指示を仰ぎながら改良を重ねた。

まさに“答えのない作業”の連続だった。

「初めて作る製品だけに、どこの部品の精度が重要なのかがわからず、動かしてみて意見をいただいてから判断するしかありませんでした」(尾針)

中でも大きな壁となったのが、プラスチックの加工だ。

実験機の視認性を高めるために機器の外側を透明なプラスチックで覆う必要があったが、金属よりも環境の影響を受けて変化しやすいプラスチックは高い精度を実現するのが容易ではない。それでも尾針をはじめとしたムソー工業の開発チームは妥協せず要望に応え続け、教授や協力会社との打ち合わせの回数は数十回にも上ったという。

しかし、その度に精度は着実に向上し、教授の反応にも着実な手応えが表れ始めていた

試験機の完成と研究結果の発表。

世の中の技術を前へ進める研究の陰の立役者に。

試験機の完成と研究結果の発表。

世の中の技術を前へ進める研究の陰の立役者に。

約2年の歳月をかけ、ついに装置は完成した。

教授が必要とするデータを安定して計測できるようになり、従来の試験機ではなし得なかった結果を出すことに成功したのだ。教授からはこれまでにない感謝の言葉が贈られ、研究成果を記した論文には謝辞として「ムソー工業株式会社」の名が掲載されることとなった。

将来、この研究が世の中の動力機械のエネルギー効率化に役立つ日は、そう遠くないかもしれない。

長い挑戦を終えた今、尾針は当時をこう振り返る。

「研究開発では、スピードが極めて重要だと改めて実感しました。考えるより先に形にして動かし、検証し、また作り直す。今回のような正解のない仕事では、その繰り返しが最短距離なのだと思います」

このプロジェクトで培われたスピードと精度への執念は、今のムソー工業の技術的強みとして顧客からも高く評価されている。

約2年の歳月をかけ、ついに装置は完成した。

教授が必要とするデータを安定して計測できるようになり、従来の試験機ではなし得なかった結果を出すことに成功したのだ。教授からはこれまでにない感謝の言葉が贈られ、研究成果を記した論文には謝辞として「ムソー工業株式会社」の名が掲載されることとなった。

将来、この研究が世の中の動力機械のエネルギー効率化に役立つ日は、そう遠くないかもしれない。

長い挑戦を終えた今、尾針は当時をこう振り返る。

「研究開発では、スピードが極めて重要だと改めて実感しました。考えるより先に形にして動かし、検証し、また作り直す。今回のような正解のない仕事では、その繰り返しが最短距離なのだと思います」

このプロジェクトで培われたスピードと精度への執念は、今のムソー工業の技術的強みとして顧客からも高く評価されている。